メンタルヘルス元年となる2014年に、サートプロではメンタルヘルス拡大やサービスの向上にともない、メールマガジンとブログでの情報配信を開始します。

その連載第1回として、メンタルヘルス元年「プレメンタルヘルス」がIT業界を救う、をお送り致します。

「プレメンタルヘルス」と言うキーワード、多くの方はおそらく、初めて耳にされたと思います。

私は、メンタル不調者を他業種の2倍も多く生み出しているといわれているIT業界に、20年以上携わってきました。

そして実際に多くのメンタル不調者を目の当たりにしてきました。IT業界での後半は、経営者の立場でかかわり、それは実に切実で複雑な問題でした。

そして、それらの問題を考えるときに、常に感じていたのは「どうも何かが足りない」でした。

「どうも何かが足りない」というモヤモヤとした思いを整理して「足りない何か」を明確化した言葉が、この「プレメンタルヘルス」です。

最初は漠然と「メンタルヘルスに足りない何か」探しからはじめましたが、いまや明確に、より豊かに生きていく上で必要な「基本的なものの考え方」を「プレメンタルヘルス」として、まとめることが出来ました。

日本では、2014年の国会において、「企業における従業員のメンタルチェックの義務化」法案(1)が可決される可能性はきわめて高いといわれています。

「2020年までにメンタルヘルスを導入している企業を100%にする」ことを目指しています。

現在でも大企業は義務化されていますが、中小企業は対象外であり、この法案は、それに弾みをつけるためのものです。

しかし、現場では「メンタルヘルス」という言葉をどのように受け止めているのでしょうか?

いまだに多くの人には「メンタルヘルス」に偏見があります。

「メンタルヘルスの概念は、理屈ではわかるし、いいことだと思う」という一方で、「自分には関係がない」あるいは「自分は関わりたくない」という本音が見えます。

私は、企業に「メンタルヘルス」を定着させる大きなチャンスが訪れていると感じていますが、企業に(あるいは個人に)受け入れ準備が不十分ではないか、と言う「危機感」を抱いています。

つまり、受け入れ準備が不十分なままだと、せっかくのチャンスが悪いほうに働いてしまう可能性が高いと感じています。

以下のような事が想定されます。

A)従業員は「メンタルチェック」を「会社に言われて仕方なく」受けることになる。

B)企業側もその結果を受けても適切な対処が出来ず、現状の「不調者が減らない」状態が続く。

C)結果的に「メンタルチェック」は形骸化してしまう。

さらに、今現在提示されている法案の内容(特に標準とされているチェック方法)を見る限り、もっと危惧される問題があります。

それは、「メンタル不調」という医師のお墨付きを持った従業員が増えてしまうのではないか、と言う点です。

企業がメンタルチェックの意義をきちんと伝え、従業員も「自分のために必要なことだ」という姿勢で臨んでもらわないと、チェックの回答を意図的に操作する事が起こりかねません。

これによって企業が抱える休職者や労災申請、果ては訴訟問題などに進展してしまいます。

こうなると、企業にとっても従業員にとっても「メンタルヘルス」そのものが、今まで以上に厄介な存在になってしまいます。

そこで必要なものが「プレメンタルヘルス」です。

「プレメンタルヘルス」は、「メンタルヘルス」を企業に根付かせるために必要な「土台作り」に、大いに活用できる概念です。

つまりこの「危機」を乗り切り、「メンタルヘルス」を受け入れるための必須事項である「意識改革」を促すものです。

ここで「プレメンタルヘルス」の概要を具体的に示しておきましょう。

◆◆◆ 「プレメンタルヘルスの概念」 ◆◆◆

『本来、社会で仕事をするうえで(IT技術者として)知っておくべき、心の仕組みや自他の捉え方についての心構え』

  • 「メンタルヘルス」に対する偏見をなくす
  • 豊かに生きていくために必要な知識として身につける
  • 年齢や性別などの属性にとらわれない、自由でおおらかな生き方
  • 「決め付けない」、「とらわれない」、しなやかな考え方
  • 他者を認めることから始める自己主張
  • 精神論ではなく、合理的で科学的な知識の習得
  • 『メンタルが強い/弱い』といった「二元論的人間理解」から「多面的人間理解」へ(二元論バリアを破る) などなど
    ※ (特に「メンタルヘルス」の普及に関わる側面)
  • 理論、技法を有効活用する(メンタルヘルスリテラシー:MHL)ための土台作り
  • 「メンタルヘルス」に取り組む前に解決しておくべき問題

「プレメンタルヘルス」は、こういった「メンタルヘルス」が根付いていない土壌を耕す役割を担うものです。

「下地作り」の活動に有効な手段だということを、まずは理解していただきたいと思います。

まず「プレメンタルヘルス」から取り組む「メンタルヘルス」が、メンタルで悩み、苦しんでいる社員を救う唯一の手段だと信じています。

最後に、メンタルヘルス元年となる2014年、この「プレメンタルヘルス」というキーワードが注目を集めることになるでしょう。

 

(1)「企業における従業員のメンタルチェックの義務化」法案
www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000033063.html

まずはプレメンタルヘルスへの取り組みとして、企業内において勉強してみませんか?
担当者1人から取り組める「職場のメンタルヘルス企業導入支援パック」をオススメします。

www.certpro.jp/mentalhealth/mentalhealthpack.html

内田 星治(うちだ せいじ)
アクティブ・リスナー学院 学院長
株式会社サートプロ メンタルヘルス学習センター センター長
一般社団法人IT職業能力支援機構 顧問

【プロフィール】
立正大学文学部哲学科心理学専攻卒業後、IT企業でソフトウェアの開発、プロジェクトマネージメントを行う。また、人事担当者として社員のカウンセリング及び心理教育全般を実施、管理運営する。現在は、カウンセリング及びカウンセラー養成講座を実施、2010年、JALC認定アクティブ・リスナーによる傾聴グループ「クロスハート」を設立する。
資格:認定心理士(社)日本心理学会、心理相談員(中央労働災害防止協会)、NCCP認定カウンセラー

お問合せ
株式会社サートプロ メンタルヘルス学習センター
TEL:03-6276-1168

関連ページ
www.certpro.jp/mentalhealth/mentalhealth.html

 

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【連載】第1回 メンタルヘルス元年「プレメンタルヘルス」がIT業界を救う。

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